口呼吸と歯並びの関係

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口呼吸と歯並びの関係

2026年07月06日│院長・スタッフ│

呉市のふかみスマイル歯科に勤務する歯科医師の田中です。

普段、ご自身や大切なお子様が、無意識のうちに「口をポカン」と開けていることはありませんか? 「ただの癖だから」「そのうち治るだろう」と見過ごされがちな「口呼吸(こうこきゅう)」ですが、実は子どもの歯並び(歯列)や顎の成長、さらには将来の顔立ちにまで極めて重大な悪影響を及ぼすことが分かっています。

今回は、歯科医師の視点から、口呼吸と歯並びの密接な関係、そしてなぜ早期の改善が必要なのかについて、メカニズムを交えて詳しく解説します。

1. 本来あるべき「鼻呼吸」と「お口のバランス」

人間の身体は、本来「鼻」で息をするように作られています。 鼻呼吸をしているとき、お口の中ではある「理想的なバランス」が保たれています。それが「舌の位置」と「唇・頬の筋肉の圧力」の調和です。

正しい舌の位置(スポット)

リラックスしているとき、舌の先は上顎の前歯の少し後ろ(スポットと呼ばれる位置)にあり、舌全体が上顎の天井(口蓋:こうがい)にぴったりと押し当てられているのが正常です。

内と外からのバランス

舌が内側から上顎をグッと押し広げる一方で、外側からは「唇」や「頬の筋肉」が歯を適度に押さえています。この内側からの押し出す力(舌)と、外側からの抑える力(唇・頬)が1:1で調和しているからこそ、歯は綺麗なアーチ状(歯列弓)に並ぶことができるのです。

2. 口呼吸が歯並びを悪くするメカニズム

しかし、口呼吸になるとこの絶妙なバランスが完全に崩れてしまいます。空気の通り道を確保するために口を開けると、お口の中では以下のようなドミノ倒し的な変化が起こります。

① 舌が下がる「低位舌(ていいぜつ)」

口で息をするためには、舌が上顎の天井にくっついていると邪魔になります。そのため、舌は下顎の低い位置へと沈み込んでしまいます。これを「低位舌」と呼びます。

② 上顎が狭くなる「歯列弓の狭窄(きょうさく)」

舌が上顎から離れると、上顎を内側から広げる力がゼロになります。その一方で、口を開けていることで頬の筋肉が外側から上顎をギューッと締め付け続けます。 結果として、上顎の骨が横に広がらず、V字型に狭く、縦に長いお椀のような形(高口蓋:こうこうがい)になってしまいます。

③ 歯が並ぶスペースが足りなくなる

お家の土台(顎の骨のアーチ)が狭くなってしまえば、当然、そこに並ぶ予定の歯(家具)は収まりきらなくなります。これが、ガタガタの歯並びを引き起こす直接的な原因です。

3. 口呼吸が引き起こす代表的な歯列不正(不正咬合)

口呼吸が慢性化すると、具体的に以下のような歯並びのトラブルが引き起こされやすくなります。

出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ)

口が開いていると、前歯を外側から押さえる「唇の力」が働きません。さらに、狭くなった上顎のせいで前歯が押し出されたり、 swallow(飲み込み)の際に舌で前歯を押し出す異常な癖(異常嚥下癖)がつきやすく、前歯が前方へ突出します。

ガタガタの歯並び(叢生:そうせい)

前述の通り、顎の幅が狭くなることで歯が綺麗に並ぶスペースが失われ、八重歯になったり、前歯が重なり合って生えたりします。

前歯が噛み合わない(開咬:かいこう)

奥歯はしっかり噛んでいるのに、前歯が上下に開いたまま隙間ができてしまう状態です。口呼吸の人は、物を飲み込むときに舌を上下の前歯の間に挟み込む癖が出やすいため、前歯の萌出が阻害されて開咬になりやすくなります。

4. 歯並びだけじゃない!「アデノイド顔貌」への影響

口呼吸の影響は、口の中だけに留まりません。成長期のお子様が口呼吸を続けていると、顔全体の骨格の成長方向が変わり、特有の顔立ちになることがあります。これを「アデノイド顔貌(がんぼう)」(またはロングフェイス症候群)と呼びます。

  • 顔が縦に長く、面長になる
  • 下顎が後ろに下がり、小さく見える(口元が突き出た印象になる)
  • 常に口が開いていて、締まりのない表情に見える
  • 鼻や上唇の筋肉が使われないため、鼻翼が狭く、上唇がめくれ上がる

骨格が固まってしまう大人になってからでは、これらの骨格的な特徴を矯正治療だけで改善することは難しくなり、外科手術が必要になるケースもあります。だからこそ、骨の成長がコントロールできる子どもの時期の早期発見・早期治療が極めて重要なのです。

5. 歯科医院で行う口呼吸・歯並びへのアプローチ

もしお子様に「口呼吸」のサイン(常に口が開いている、イビキをかく、クチャクチャ音を立てて食べる、前歯が乾燥している等)が見られたら、まずは一度当院へご相談ください。歯科医院では、単にワイヤーで歯を綺麗に並べるだけでなく、「根本原因である口呼吸や習癖を治すことで、正しい成長を促す」治療を行います。

筋機能療法(MFT)

お口の周りの筋肉(舌、唇、頬など)のトレーニングです。正しい舌の位置を覚え込ませ、唇を閉じる力を鍛えることで、自然に鼻呼吸へと導きます。

小児矯正(床矯正・マイオブレースなど)

成長期の力を利用し、狭くなってしまった上顎の骨(土台)を優しく広げる装置を使用します。これにより、歯が自然に並ぶスペースを作り、同時に舌の位置を正しい場所へと誘導します。

※なお、アレルギー性鼻炎や扁桃肥大など、耳鼻咽喉科的な疾患が原因で鼻が詰まっている場合は、耳鼻科の先生と連携して治療を進めていくことが不可欠です。

まとめ:綺麗な歯並びは、正しい「鼻呼吸」から

「もしかして口呼吸かも?」と少しでも気になることがあれば、どんな小さなことでも構いません。お子様の健やかな成長のために、ぜひお気軽に当院へご相談ください。

また、インスタグラムでも当院の情報をお届けしています。ぜひこちらもご覧ください。

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